フランスで人気の職業③:「ジャーナリスト」の仕事とは?なり方や資格、収入について解説!
Work | 2020-07-06
フランスで人気の職業シリーズ、今回はladepeche紙による調査で第3位に輝いた「ジャーナリスト」についてご紹介します。
「言論の自由」を担うヒーロー的存在!歴史的に人気の知的職業
人権を重視するフランスでは、ジャーナリズムは「民主主義的な秩序形成のために重要」と認識され、公共の財産としての位置付けがされています。
「1935年3月29日法」ではジャーナリストの職業身分および法的地位が明文化されており、新聞社や雑誌社に対しては、国による補助金の付与が行われています。
実質的な公共サービスとして社会的に重視されている職業であり、知識階級の仕事というインテリ的なイメージも相まって、昔から変わらず高い人気を誇る職業のひとつです。
フランスでジャーナリストになるには?
フランスでジャーナリストになりたい場合には、どのようなプロセスがあるのでしょうか?
教育機関や仕事のしかた等について、詳しく見ていきましょう。
政治学院から高等職業専門学校まで、選択肢は幅広い
日本とは異なり、フランスではジャーナリストになるための教育を行う機関やコースが非常に充実しています。
エリート養成機関として有名なグラン・ゼコールのひとつである政治学院(IEP)にジャーナリズムコースが設置されているほか、ジャーナリスト協会が設立した専門学校、公立の高等職業専門学校など、ジャーナリズムを学ぶことのできる場は多様に用意されています。
一般的には、経済や医学など、なんらかの分野で一定の勉強を終えた後、大学院や専門学校でジャーナリズムを学ぶパターンが多く、スポーツや実業など、メディア以外の分野で活躍する社会人が、ダブルスクールでジャーナリズムを学ぶことも珍しくありません。
プレスカードが職業ジャーナリストの証
日本では定義が曖昧な「ジャーナリスト」の肩書きも、フランスでは形式的に決められています。
職業ジャーナリストとして認められるためには、CCIJP(職業記者身分証明書委員会)が発行するプレスカードを所持していることが一定の条件になっており、特に公的な取材を行う際には、必ずプレスカードの提示が求められます。
ジャーナリストの就職先としては、伝統的な新聞・雑誌に代表される報道機関のほか、テレビ局やラジオ局、フリーランスなどがあります。
最近では、ウェブメディアのジャーナリストとして活躍する若者が増えており、コンピューターリテラシーの高さが就職の際の条件にもなっています。
収入は経験に応じてアップ。税制・公共機関での特典あり
フランスのジャーナリストの平均月収はおよそ53万円程度と高水準ですが、上下ラインの差が大きい職種でもあります。経験や人脈が物をいう職業だけに、勤続年数の長い報道系社員ほど、収入も高くなる傾向にあります。
フリーランスジャーナリストの場合は、法律で収入の下限が定められており、3カ月もしくは12カ月の平均月収が、フランスの法定最低賃金の半額以上である必要があります。
単純な金銭報酬以外にも、所得税の減税を受けられる、プレスカードを提示すれば美術館・博物館の入場が無料など、社会的な補助も受けることができます。
社会貢献の要素が強いジャーナリストは、昔も今も知識階級の憧れ!
民主主義意識の強いフランスにおいて、人権の要を担うジャーナリストは、昔から変わらない人気職業です。
グラン・ゼコール出身のジャーナリストも少なくないことから、知識階級の仕事としてのイメージが強く、社会的なステイタスも高いことがうかがえます。
のんびりとワークライフバランスを守った働き方をしたい人には向かないものの、好奇心やフットワークの軽さを活かしたい人にはおすすめの職業だと言えるでしょう。